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「さぁ椿、覚悟してもらおうか。
なんたってこれから、椿にコスプレしてもらうんだから」
―――いま、なんて…?
もはや、声も出ない。
まさか、まさかまさかこんな冗談を言われるだなんて。
けれど、満面の笑みの千堂くんは、瞳だけに脅迫するような威圧感を湛えて言う。
「まさか、僕の言う事が冗談だなんて、思ってないよね?」
凍りつく私を差し置いて、彼が背後から取り出したのは
千堂くんと一緒に歩いていた彼女が着ていたのと、全く同じセーラー服だった。
「これを着てもらうね」
「え?これって」
「椿に着せるために、さっき立花さんから借りた」
――と、いうことは、要するに私がさっき聞いていたのは、彼女がこの制服を貸す過程の会話だったという訳で、、、
いや、でもでも、脱いでもらったって事は……
「その、立花さんってコの下着姿を見――」
「見てません。そんなことが気になってるの?
立花さんには、ちゃんと浴室で着替えてもらったよ。
なんたって僕は紳士だからね」
「その紳士が、私の服を勝手に脱がすの?」
安堵の思いから、私の涙はピタリと止まっていた。
冷静に突っ込む余裕まである。
――私、単純な人間かも。
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