154人が本棚に入れています
本棚に追加
枯れ木がカサカサと乾いた音を立てている。
冷たい匂いと、真っ白い空。
そんな中で、彼女は千堂くんの部屋の前に立ち、ニコニコと笑みを浮かべていた。
「あ。終わったんですね」
彼女……立花さんは、幼い顔立ちの割には大人っぽい私服を着こなし
時折、風に揺れるセミロングの巻髪を、そっと押さえてちょこんと立っている。
それが人形を思わせて、可愛らしいコだと改めて思った。
「立花、さん、ですよね。
待たせちゃったみたいで、御免なさい」
「いえいえ。
千堂くんが狙っているという椿さんを一目見たくて、勝手に待っていただけですので」
制服姿の私に対しても、彼女は落ち着いて接してくれる。
まるで、私より大人びているようにも感じてしまう。
「どぉ?椿、可愛いでしょ?」
「はい!さすがは千堂くんです。
とても可愛らしくて、年上とは思えません!」
そんな2人の会話に照れながらも、私は、ずっと引っ掛かっていたことを彼女に訊ねた。
「あのー…まだ授業中なのに、制服借りちゃって良かったんでしょうか?」
最初のコメントを投稿しよう!