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「大丈夫、椿の心配には及ばないよ」
千堂くんは、ニッコリとわざとらしい笑顔を見せつけてくる。
「ウチのクラスの担任って適当でさ、帰りのホームルームにチラッと顔出せば出席扱いしてくれるから安心してよ。
それに、文化祭の準備でホームルームもすぐ終わるはずだし」
――そうか、文化祭。
準備で忙しいはずの時期に、私なんかが代役になってしまって良いものなんだろうか。
いやいや。
ダメに決まってる。
……ってゆうか
担任にバレてしまったら、何もなもがおしまいだ。
立花さんと私は、背丈は近いものの、顔の違いは一目瞭然。
髪なんて私のほうが圧倒的に短いというのに。
勿論、そんな事を気にしないのが千堂くんだ。
それぐらいは分かる。
そこそこ深い付き合いだもの。
「とにかく、その制服を着た以上は逃げられないからね」
千堂くんは、爽やに笑う。
言葉では、悪魔のごとく冷酷な言葉を発しているくせに。
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