第3章【生徒ごっこ】

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  静まり返った下駄箱。 千堂くんは私に、立花さんの上履きを差し出して 「なんか悪いことしてるみたいだね」 なんて、嬉しそうに笑う。 「あのね、悪いことだから」 と、勘違いしている彼に教えてやると、ツッコミが上手くなったね。なんて笑われる始末だ。 実際私も、悪い事をしているなんて自覚が薄れてきていた。 学生時代に満喫できなかった体験のせいで、高揚感の方が上回っている。 「授業やってるクラスもあるから、ここから静かにね?」 「言われなくても、はしゃぎません」 当然のことを注意されながらも、磨かれた階段を上っていく。 どうやら、殆どのクラスが文化祭の準備に取り組んでいるみたいで、廊下のスペースまでもを使って作業している光景を何度も見掛けた。 私の制服姿の違和感のせいなのか……通りすぎる度に、何故か注目を浴びている気もしたけど。 そして、ようやく辿りついたのは、2年4組の千堂くんのクラス。 そこでも、廊下へ座りこんで作業をしている生徒達がいた。
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