第3章【生徒ごっこ】

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「作業、はかどってる?」 千堂くんは、一人の男子生徒に話しかけた。 「てめっ千堂、サボりやが…――って、そのコ、誰?」 いかにも野球部らしい坊主頭の男子が立ち上がり、こちらへ視線を向ける。 「ん?立花さんがどうかした?」 「おい、どう見ても立花さんじゃ……ないですよね?」 千堂くんに訊ねるのは無駄だと察したのか、途中から質問相手は私になっている。 「えーと、立花です」 なんて、珍しく千堂くんに便乗してみると 「おい」 と、突っ込んでくれるノリの良い坊主頭さんだ。 「コイツは須賀。 運動バカでー、ウブでアホで天然でー」 「やめろやめろ。 どうせならもっとちゃんと紹介してくれ」 どうやら千堂くんは、学校でも意地悪らしい。
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