第3章【生徒ごっこ】

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いつも帰りが早いから、てっきり帰宅部かと思っていたけれど そんな千堂くんが入っている部活だと思うと、自ずと興味が湧く。 どうせ、幽霊部員なんだろうけど。 「言っとくけど、僕はこれでもいろんな賞を取ってる実力を持ってるから 部員の中では一番優秀なんだよ?」 「賞?個人的に賞が貰える部活?」 そうなると、ますます判らなくなってきた。 サッカーやバスケではないんだろうし、卓球やテニスもなんだか違う。 なんというか、千堂くんが他人に振り回されるようなスポーツをしている姿が想像できないのだ。 だっていつも凛として、自分のペースで飄々としているんだもの。 そんなことを考えているうちに 突如立ち止まった千堂くんの背中へ、頭を突っ込んでしまった。 「ごめんっ」と謝りながら顔を上げると そのドアの上には“美術室”と表示されたプレートが掲げられていた。 「美術?!……絵、描くの?」 「絵も描くし。彫刻だって彫るよ」
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