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まさか美術部だったとは。
しかも、芸術で賞を獲るなんて、絵心の無い私は感心してしまうわけで。
そして、口角を引き上げて微笑む彼は付け足すように続けた。
「美術部って言っても、ほぼ帰宅部状態で、点数稼ぎに名前だけ所属してる奴ばっかだから
参加しても帰宅時間の融通がきくし、要するに便利なんだよね」
――なるほど。
帰りも早いわけだ。
けれど、美術部が意外だった事は確かで、ユニフォーム姿運動の千堂くんも見てみたかったな、なんてほんの少し残念だったり。
それ程に彼の筋肉がしなやだったのを覚えているから。
とはいえ、いつか彼の制服にジュースが掛かった時、見たきりだけれど。
思わず回想していると、美術室のドアを開けた彼は爽やかに誘導してくる。
「さ、入って」
「あ。おじゃま、します」
ドアの向こうには、白い彫刻やキャンバス、そしていかにも手作りらしい木製の椅子やテーブルが並べられていた。
部室の雰囲気に馴染もうとしているうちに、再びチャイムは鳴る。
時間的に、最後の授業が始まる音だ。
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