第1章【危ない隣人】

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一人で出掛けることに慣れていない私は、神経質なほど戸締まりをチェックして、玄関のドアにもしっかり鍵をかけた。 よし、出掛けようっ! 意気込んで一歩足を踏み込んだ瞬間、視界の端に人影を捉え、顔を上げた私は思わず硬直してしまう。 「こんばんは」 千堂くんだ。 高校生とは思えないくらいの穏やかな微笑みで、彼は軽く会釈をしてきた。 そっか、ちょうど帰宅の時間だったのか。 いつも窓から眺めていた彼が目前にいるものだから、芸能人にでも出くわしたような衝撃が私の体を強張らせる。 「こ……こんばんは」 私の顔が赤くなっていくのが、自分でもよく分かった。 こうして顔を合わせるのは、彼が引越しの挨拶に来たとき以来だったから。 私はそ知らぬ顔で場を後にしようとした、、、その時だった。 「椿さん……ですよね? いつもお兄さんとキスしてる」 ――刹那、思考が停止した。 「なっ……な……――」 世界に暗幕が引かれたような錯覚を覚えた。 私は思わず。 「な、、なんで知ってるの?!」 ――あぁ。 私の馬鹿バカ! わざわざ自爆するなんて。 恥ずかしさに俯く私に、彼は更に容赦なく凄い事を言ってきた。 「貴方達の事なら何でも知ってますよ。 僕の部屋へ来てみませんか? そしたら理由が解ると思いますけど」
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