第3章【生徒ごっこ】

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「さてと。 これから“いいコト”を始めようか」 「あれ?千堂くんの言ってた“いいコト”って、クラスの皆を紹介してくれる事じゃなかったんだ?」 教室を見回しながら訊ねると、千堂くんは、椅子へ座るように促してくる。 「この僕がそんな事で椿を満足させるわけないでしょ? ほら、座って」 言いながら彼が持ってきたのは、真っ白いキャンバスだった。 使い古されたエプロンのような物も、私の体へ巻きつけられる。 「僕が先生。椿は生徒」 「それってもしかして、私に絵を描けってこと?」 「御名答」 ……はっきり言って 私は絵心なんて持ち合わせていない。 絵よりも文字を書く方が好きだったほどだ。 「私、絵なんて描けないよ」 弱音を吐くと、千堂くんは学ランを脱ぎながら優しく言葉を放った。 「手がある限り、絵を描けない人なんていないよ」 「でも、下手だよ? もはやホラーだよ?」
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