第1章【危ない隣人】

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千堂くんは高校生で。 私は、一応大人で。 なのに、歳下の千堂くんの誘いに、不覚にも怯えてしまう私。 他人の男の人の部屋に入るなんて雪兄に悪い気もするし、でも千堂くんの言う“理由”も気になるし、でもでも、ただ私をからかって遊んでるだけなのかもしれないし…… 私は短い時間に思考をフル稼動させて、そして結局、彼の誘いに乗った。 何よりも、自分の好奇心が強かったから。 千堂くんを 知りたい―― 最終的には、そんな強い想いばかりが私を支配していた。 「さぁ、どうぞ」 彼に導かれるまま、千堂くんの住む203号室の扉をくぐった。 他人の匂いと馴染みのない雰囲気に、私のノミの心臓は破裂しそうなほどの鼓動を打っている。 モノクロに統一された部屋は整然としていて、どこか寂しいような印象もあるのは、、、気のせいなのかな。 静かすぎる部屋。 そういえば両親さえも見掛けた事が無いけれど、千堂くんは一人暮らしなのだろうか。 無意識に部屋を観察してしまっていた私の横で、彼は不意に棚の上をゴソゴソと片付けた。 何か、見ちゃまずい物でもあったのかな? そうだよね、年頃の男の子なんだもんね。 なんて、気を遣わせないようにわざと違う方向に体を向けたりして、私ってば何をしに来たのやら。
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