第1章【危ない隣人】

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「散らかってて、すみませんね。 なにせこんな予定じゃなかったから。 まぁ、ジュースでも飲んでって下さいよ」 片付けを終えたらしい彼は、おもむろにテーブルへ案内するけど。 私は遊びに来たのではないわけで。 「長居するつもりじゃないから、気にしないで。 それよりさっきの、なんで私と兄の事……」 そう。 本題はこれだ。 千堂くんが私と雪兄の事をどうして知っているのかを、まずは追求しなきゃいけない。 なのに彼は、冷蔵庫から取り出したジュースを満面の笑みで差し出す。 「そんな事より、これ飲んでよ」 ――って、私の質問は無視? 「折角だし、ゆっくりしていってよ。 ね?椿」 そしていきなりの呼び捨て。 千堂くんって、こんなに勝手で強引な人なの? とはいえ、緊張で喉が渇いていた私は、彼の押し付けに負けてジュースをひと口頂く事にした。 「美味しい?」 「まぁ、おいしいけど」 彼は、ジュースを飲む私の顔を何故かじっと見ている……と言うよりは、むしろこれは観察されている感覚で。 「何か、私の顔にゴミでも付いてる?」 「いや、美味しそうだなぁと思ってさ」 「だから、“おいしい”ってさっき言ったじゃない」 「ふぅーん……」
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