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意味の分からない千堂くんの視線が気になって、ろくにジュースも飲めない。
「そんなに物欲しそうに見てるなら、千堂くんも飲めばいいじゃん」
呆れぎみに言い放った私に対して、何が可笑しかったのか、千堂くんはクスクスと笑う。
「じゃあ、味見だけさせてもらおうかな」
すると、、、
何故か、千堂くんはこちらへ手を伸ばしてきた。
近づいてくるほどに、彼の指の長さが明確になる。
その指先の目的を把握できない私が停止している間に―――
千堂くんの指は、私の唇にフワリと触れた。
そして、まるで唇の水滴を拭き取るかのように、彼は指を滑らせてくる。
何っ――
どうゆうこと?
くすぐったい……
動揺しすぎて動けなくなっている私をよそに、千堂くんはしばらくその行為を楽しんだかと思うと、指を自分の口へ含んだ。
「……へっ?」
私の間の抜けた声だけが、部屋に小さく響いた。
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