序章:隠れ厨二だったという話

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー キーンコーンカーンコーン……。 憂鬱な時間の終了、そして自由な放課後の始まりのチャイムが鳴った。 学校は授業と集会さえなければとっても楽しいのにな。 あ、あとカップルさえいなければ嬉しいのにな。 廊下を通る際にイチャイチャカップルを見かけると蹴りたくなるのは何故だろう? チャイム音とともに一斉に学校全体がざわめき始める。 一緒に帰ろうか? う……うん。帰りにクレープ屋でクレープ買おっか? おお、そうだな。じゃあ俺が奢ってやるよ。 ほ、ホント?……アリガト。 なんてやり取りを聞きながら、小さく舌打ち。イチャってろばーか。 部活に向かう者、友達と遊ぶ者、放課後にも関わらず学習を続ける者ーーこれが理想の学生像だがーー、帰宅する者など様々だ。 今日は水曜で、通常より授業が少なく、そのため放課後になる時間帯も早い。 だから水曜日は部活動生はいつもより長く練習をすることができ、非部活動生はより贅沢に時間を使うことができる。 この学校は文化部も運動部もそこそこあって、実力もそこそこだ。 例えば日常部のような、活動が定まっていない感じのゆるりとしたラノベ的な部活はない。どの部活もそれなりに活動をし、それなりに結果を残している。 俺は部活には入っていないので、早く帰って楓との買い物の準備ーーと言っても、適当に服を着替えるだけなのだけれど、とにかくそれをするために終礼とともに鞄をからい、立ち上がった。
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