序章:隠れ厨二だったという話

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学校指定の黒い鞄についている、小さな鍵のストラップをジャラジャラと鳴らしながら玄関に向かう。 このストラップ、どこで手に入れたんだっけ。どうでもいいけど。 それにしてもパンチラって素晴らしい。見えそうで見えなくて、やっぱり見えて。 青春の全てをそこに集結させたような、世界の夢を一点に詰め込めたような、まるで未知への冒険のようなものだ。 いや、普段から覗いたりはしてないよ? 誤解しないで欲しい。純白もいいけどイチゴと水玉も紫も黒も水色も素晴らしいよね。あ、あと紐パンも。 そんなことを考えながら階段を歩いていると、やがてやがては生徒玄関。 我先にと急ぐ生徒達で生徒玄関は溢れていた。 「む……光貴くん、何をしてるんだ?早く帰ろう」 いつのまにか横に並んでいた楓が、俺の顔を覗きながら言う。 長い睫毛の奥にある透き通った瞳が俺の目を射抜く。 こういう、急に距離感を縮めるとこにはまだ慣れないな……。 早く買い物に行きたいという願望と、俺にどうにかして欲しいという期待がその瞳に秘められていた……気がした。まぁ期待されたら応えてあげるが世の情けだ。 「そういや、たしか近道があるんじゃなかったか?」 思い出したように口を開く。 一度だけ、友達に誘われて通ったことがある。 職員玄関から抜けて、人影の少ない通りからいつもの帰路に合流することができたはずだ。
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