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慌てて鞄をまさぐり、ケータイを取り出す。キーホルダーがジャラジャラと鳴る。
うるさい。
「そんな……」
圏外と表示された画面を見て、本日二度目の絶句。絶句を一日に二度もさせるなんてどういうことだよくそっ!
『二度あることは三度ある』か?ふざけんな。
「光貴くん、風が……吹いてない」
ゆっくりと、楓が信じたくないと言った様子で、ぼそりと言葉を洩らす。
俺たちが学校を出たときは確かに風は吹いていた。
少し前までずっと吹き続けていて、落ち葉が宙を浮く程だったはず。
それが五分程度風が吹かないのは、絶対にないとは言い切れないけれどやはりおかしい。
何かあるのか?
ふと腕にしていた黒い時計に目をやる。
時計は止まっていた。いきなり、だ。急にケータイが圏外になって、突然風がやんで、時計が止まって。
あるか、そんなこと?
「おかしい。どうなってんだ……」
取り敢えずこの空き地のような場所から出ようと考え、空き地の外に足を出そうとする。一刻も早く帰る方法を考えないと。今日は楽しみだった買い物だぞ?くそ!
ガツン、と音がした。
手を前に出そうとすると、ある場所から前に進まなくなる。
ペタペタと確認するが、どうやら空き地全てを囲んでいるようだ。
まるでパントマイムだ。
「嘘だろ……。閉じ込められた」
呆然と、呟く。
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