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どうやらこの世界は、俺たちのいた世界、つまり科学が発達しボタン一つで色々出来たり飛行機で簡単に外国に行ける世界ではないらしい。
魔法が使える、という信じることの出来ないようなことが、この世界では常識らしかった。マジですか、と言う人に答えよう。マジです。俺も信じられないんだけれど。
世界地図を見せてもらったが、地形は地球と全く一緒だった。地名は違ったけど。つまりここはあっちの世界で言えば日本であって、俺たちが住んでいた場所の近くだ。
これが誰かのドッキリで、魔法なんて嘘で全て科学の力です、という可能性もないことはないけれど、恐らく本当に違う世界に迷い込んだんだろう。だって魔法だもの。
信じにくいっていうか、信じれないのだけど。
あの後、何度か魔法というものを見せてもらって、科学では説明のつかないことだらけで、心臓が爆発しそうな程に興奮してしまった。
何もないところに火が発生して文字を描くとか、出来るだろうか?
いや科学でも出来るかもしれないけど、こんな女の子にそんなことはできないと思う。
今は落ち着いて、赤髪の女の子の作ったご飯を食べながら、俺の置かれている状況について話しているところだ。
ちなみにご飯を作る際も自分で炎を出していた。自家発電万歳だ。
「ふーん、じゃああんたは、何も覚えてないわけね」
女の子が、魔法の炎で焼いた魚を食べながら言う。味はあっちの世界と大差ない。塩辛くてグッドテイスト。
「ああ、気がついたらこの家にいたんだ。いきなりでビックリしてさ、家族のことすら思い出せない。だから魔法のことなんか一つも覚えてない」
ややこしくなるといけないので、暫くは記憶喪失で通すことにした。少し無理があるかもだけど。
異世界から来た、なんて言ったらどんな面倒事に巻き込まれるか分からないからだ。
別に魔法には憧れてたけど、実際に伝説の勇者とかにはなりたくない。
そんな携帯小説みたいな展開、いやいや確かに面白そうなのだけれど、どうしても乗り気になれない。
俺の望みはカッコいい魔法を使ってバトルがしたいだけですはい。
でも実際戦闘になったら相当怖いんだろうな。
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