ここはどこわたしはだれと言う話

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「まず、魔法の原理から説明するわね。魔法とはズバリ」 そう言ってミオンは、人差し指で頭をトントン、と叩く。 「ここの中のイメージを、魔力によって具象化するってことよ。分かりやすく言えば、例えば火が使いたいとするわよね?それなら小さな炎を想像して、魔力を流すと……」 ボッ、とミオンの人差し指の先に火が着いた。ライター程の小さな火で、やはりどうなっているのかは分からない。 「これが魔法の基礎。イメージがちゃんと固まってないと、魔力を流しても魔法は発生しないし、逆に魔力が足らなくてももちろん発生しないわ。いかに魔法を強力にするか。それはイメージの固さと魔力の大きさで決まるってわけよ」 指先の火を一息で吹き消すと話を続ける。 「そして、属性ね。魔法には色々な属性があって、基本は風、火、水、土、雷の五つね。希少種として、光、闇。幾つかの属性を混合したものもあるらしいけど、まだ見たことは無いわね」 ううーん……。 イッツオーソドックス。 良くある設定で良くある属性だな。 どうせ帝とか二つ名持ちもいるんだろ? 『炎陣の操者』とか言って。 「誰でも全ての属性の魔法を使えるのか?」 「もちろん使えるわ。ただし、人によってはもちろん得手不得手はあるから、普通は一つか二つ、多くて三つ位を重点的に鍛えるの」 成る程、得意教科みたいなもんか。俺は暗記系が大嫌いだったな。現社撲滅。 こんな若者が増えているから日本の経済は潤わないのかね。 「最後はまぁ階級かしらね。初級魔法から始まって、中級上級最上級まであるわ。初級は初等部と中等部で殆ど終了。高校では中級、上級を習うの。習ったからと言って、簡単に使えるわけでは無いけど、知識程度にね」 イッツオーソドックス。正直もう少し個性が欲しかったばかりにがっかり。 最初に見た、あの小さな爆発も初級魔法らしい。末恐ろしい。 ミオンは、ピンク色の綺麗な硝子のコップに入った麦茶を飲み干した。その首筋のラインも綺麗ですね。興奮……って何を考えてるんだ俺! 「あー疲れた。以上で説明終わり!どう?なんか思い出した?」 「すまん、全然だ」 もともと記憶なんてないのに、思い出すわけが無い。罪悪感は無いことはない。悪いことしてる気はするけれど、しょうがない。状況が状況だ。 「えー、折角手伝ってあげたってのにー」 ミオンは不平を漏らすと、味噌汁を飲み干し、溜息をついた。
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