ここはどこわたしはだれと言う話

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その日、俺はミオン家で初めての夜を過ごした。こう言うと興奮するけど、みんなや俺が妄想するようなことは何もなかった。 ミオンは一人暮らしだったので余り部屋が幾つもあり、その中で比較的広い部屋をあてがってもらった。 本当に心の底から感謝。 両親は、ミオンが幼い頃に他界したらしい。 その話をした途端、明らかに暗くなったので深入りするのはやめた。ミオンが話してくれるまで待つことにしよう。話してくれるかは分からないけど。 あれから俺は風呂に入った後、学校に編入届けを出しに行った。行動が速いことは悪いことじゃない。思い立ったが吉日とも言うしね。 編入テストはまた明日だそうでテスト自体は、頑張れば魔法を使わずにも合格できるものらしい。 少し安心した。 帰りに服を何着か買ってもらった。もちろんお金は後で返すが、やはりいい気はしないものだ。 服のセンスもあっちとあまり変わらないみたいだ。密かに期待してたのに、村人の服とか。 もう夜も遅くなっていたので、急いでミオン家に帰り、部屋の片付けやら、ちょっと魔法の練習してみたりやらで、いつのまにか時間は12時。ミオンの布団を借りて床についた。 時間の概念やら太陽の位置やらは特に変化が見られない。 やっぱりもとの世界という可能性は捨てられない。 ミオンが貸してくれた布団はやはりというか、甘い、女子特有の匂いがしてなかなか寝付けなかった。 ……ちなみに。 明日の編入テストは俺だけでなく、あと一人、誰か受けるらしい。 こんなことも珍しいことだそうだけれど、何を隠そう俺は世界を渡って来た男だ。この位ではもう驚かない。 今なら幽霊出て来ても「うらめしや~」「ちゃーっす」「うらめし……ってえ?あ、ちゃ、ちゃーす」って出来る自信がある。 魔法が使えないと、学校ではやっていけないらしいが、基本からミオンに教わっていけば少しはできるようになるかもしれない。 そこらへんはおいおい考えるとしよう。 何かが頭に引っ掛かっている感じがした。 まるで友達が急にスキンヘッドにした時のような些細なことの気もするし、好きな人が巨乳か貧乳かという重要なことな気もする。 ちなみに俺は、その中間くらいのジャストサイズが大好き。 話は逸れてしまったけれど、とにかく忘れている気がする何かは分からないまま、睡魔に抗うこともなく、眠りに落ちた。 彼女の存在を思い出せないまま……。
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