879人が本棚に入れています
本棚に追加
いずれ元の世界に帰るとしても、魔法を一度は使ってみたい。一度と言わず、百回くらいでもいいけど。
なんせ、毎晩夢焦がれた世界なのだから。想像とはだいぶ違う気もするけどね。
そのためもあるけど、学園に行くのも悪くない。
帰るためのヒントも見つかるかもしれないし。というか魔法世界と学園はイコールで繋がれてると思うのだけれど、どうだろう?
子供たちが投げ合っていた『投げる度に火が出たり水が出たり光ったりする意図の分からないボール』に見とれていると、ミオンが思い出したように言った。
「ん、そういえば、あんた魔法を覚えてないってことは、もちろん使えないのよね?」
「もちろんそうだけど……なにかまずいのか?」
ミオンは、うーんと唸ると、少し間を開けた。
「編入テストは魔法が使えれば簡単にクリアできると思うわ。でも、魔法が使えないとなると、出来ないことはないと思うけど、かなりしんどいはずよ」
「でも、昨日は魔法を使わなくても合格できるって言っただろ」
ミオンは再び唸った。
「たしかに合格はできるけど、今まで魔法を使わなかった人なんて多分いないわよ?」
最初のコメントを投稿しよう!