序章:隠れ厨二だったという話

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思えば、この違和感を覚えていたのはいつからだろう。 高校に入る前から感じていたから、中三くらいからかな。それじゃあもう三年目に突入か、飽きろよ俺。 この変な感覚を感じなかったのは、夜に変な世界を想像する時だけかもしれない。 『魔法』なんて非現実的な世界を想像している姿なんて、我ながら笑えてしまう。多分将来的に思い出すだけで恥ずかしくなる部類のやつだ。俺が今習慣としてることは。 いや、誰でも自分の思い通りになる都合良い世界くらい想像して当たり前。 俺が特別なわけじゃない……だろ? 髪の少なくなった先生が呪文のように古文を読む。いや、詠む? まあ、どっちでもいいか。 昔の人は何を考えてどう生きたのかなんてどうでもいいのに。 たとえ紫式部が何を思ってその物語を書いたか知ったところで、俺の人生は左右されないぞ、多分。 なんでこんな勉強なんて面倒くさいことをしないといけないんだろう? 多くの学生が、一度は抱えた疑問を考えてみる。 それは俺たちが高校生だからだ。勉強は高校生の義務であり、職務である。 ならば、なぜ勉強が高校生の義務なのか。 殆どの職業でサインコサインや二次関数、積分、古文漢文だなんて使わない筈だ。使うのは特別な職業だけである。 どう考えても必要ない。 無駄と言わざるを得ない。 ……いやいや、それはおかしい。そんな筈はない。 長年勉強が高校生の義務とされてきたのだ。 何かしら理由があるはず。 ……ふむ。俺たちを雇う側、つまり企業側から考えてみよう。 欲しい人材はよく働く者、真面目な者、リーダーシップのとれる者、結果を出す者。 ではどのように欲しい人材を見分けるのか。
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