仕事を選べる時代じゃない

2/5
331人が本棚に入れています
本棚に追加
/81ページ
「あのさ、君の仕事なんだけど――」  人材派遣会社、”シャドウファイナンス”に登録した俺は、早速社員と打ち合わせしていた。  具体的には、どんな仕事がやりたいのか? 時給、労働時間―― その他諸々を打ち合わせする為だ。 「出来るなら、高級・短期・楽勝の三拍子揃った仕事――」  そう言い掛けた俺を、鋭い視線で社員――”日陰照正(ひかげてるまさ)”が睨みつけた。 「人生舐めんな。糞ニートが……」  聞こえるか聞こえないか…… それぐらいの声量で呟いた日陰。 ――聞こえてんだよ! クソ!  などと、口に出せる訳も無い。 進学・就職を失敗した俺は、事実上ただのニート。  そんな俺が偉そうに口応えするなんて―― 恐れ多い事だ。  だが―― 心の中でぐらい泣いてもいいだろう?
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!