仕事を選べる時代じゃない

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「すいません……何でもいいです……」  堂々と自分の意思を捻じ曲げ、日陰にそう告げた。 それに微笑んだ日陰―― 「うんうん。それぐらいの謙虚さは大事だよね」  そう満足気に言う。 そんな俺に気を良くしたのか、日陰は一枚のプリントを取り出した。 「謙虚な君にピッタリの仕事があるんだよね――」  俺に見やすいように、プリントを逆さにしてテーブルを滑らせる。 プリントを受け取った俺は、内容に目を向けた。 「――”黒子のお仕事”?」  歌舞伎や演劇などで、黒装束に身を包んだ”アレ”―― 更に、業務内容を見る。 内容は――  黒子になって青春を味わおう! 今なら何と……特製シルクの黒装束支給! 向かう先は愛と青春とか、そんな感じの何かがある”博愛高校(はくあいこうこう)”! 学園祭を見事成功させた暁には、特別ボーナス支給! 「……何て胡散臭い仕事なんだ」  思わず本音がポロリ。 だが―― 時給は2000円。 更に食事付き。 ――待遇的には悪くないな……
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