仕事を選べる時代じゃない

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「こんな良い仕事、他には無いよ?」 ――どうするかな……  両腕を組み、首を傾げて小さく唸る。 そんな俺を見ていた日陰は、人知れず舌打ちをした。 「チッ……グズが……」 ――聞こえてるからねっ!?  俺のハートはガラス細工より繊細なんだ。 勘弁して頂きたい。 『コーヒーのおかわりは如何ですかー?』  俺達が話をしている場所は、街のファミリーレストラン。 女性店員がメイド服という、目にも優しい人気店。  黒髪のツインテールを揺らし、首を傾げた様が実に可愛らしい。 思わず目が行ってしまった俺を見て、日陰が黒い笑みを浮かべた。 「ねえ……店員さん。陰ながら人を支える男って……どう思う?」  女性店員は満面の笑みを浮かべ、元気よく答えた。 「ステキだと思います♪」 ――そんな事で俺の心が決まるとでも…… 「やります! この仕事!!」  うん。決まりました。
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