最高の色、そして終末へ

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----  あれから、一ヶ月が経った。俺は今、あの時袋井の滝に行って良かったと思っている。あの紅葉はガチですごかったからな。どうせなら都会に~なんて考えてすみませんでしたー! って感じだな。  それに、母さんが本当に楽しんでくれてた。就職してから、ようやく親孝行できたってもんだ。……まあ途中でコケたのはご愛嬌ってことで。  今目の前に広がるこの景色は、恐らく外国……フランス辺りかな。しかも時代も、ちょっと昔っぽい。  自分の肉体がないのって不思議だ。人はすり抜ける、壁もすり抜ける。すり抜ける場所によっては、危うく覗き魔になっちまうところだ。おまけに、声を発したつもりでも誰にも聞こえやしない。あーあ、つまんねーよー、カラオケでもしてぇよー。  もう分かっただろう。俺は既に……この世に生きていないのだ。紅葉を見た一ヶ月後の十二月二十二日……自然の猛威の前に、俺の生涯は二十四年という短さで幕を閉じた。  呆気ないものだ。大体あんなデカい津波に来られたら、例えば某有名テレビゲームの無敵になれるお星様でも取らない限り、避けられないっつーの。俺は町職員だから、町民守るのが義務だ。津波に飲まれたのは、民間人を避難させようと誘導していた時。町民守って死んだんなら、ある意味名誉かもしれないさ。  けどどうしてくれる? まだまだやりたい事、沢山あったのによ。それに俺がいなくなったら母さんだって一人になっちまう。 ってか母さん、無事なのか? 友達や同僚だって……麻綾先輩とも庁舎で分かれたっきりだった。無事なのかな? くそー、誰か教えろ。
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