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「ナップ・フィビアー、相変わらず、ぼうっとしてるわね」ミューリン・アナタスが声を掛けてきた。
ナップ・フィビアーというのが、僕の名前だ。もちろん、本名じゃない。ナップなんて変な名前があるはずがない。
ナプルード・ガルベリガル・エビア・フィビアー、それが僕の本名だ。
「ねえ、聞こえてるの?それとも、今もどこかに飛んでるところ?」ミューリンは、クリクリした瞳で僕の顔を覗き込んだ。
ミューリンは、大きな瞳が特徴の飛び切りの美少女だ。頭もよくて気が利いて、その上、性格もピカイチでいい。
彼女には欠点らしいものが、ひとつしか見当たらない。
「おい、起きろよ」誰かが僕の顔の前でパチンと手を叩いた。
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