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顔を上げると、ニキビ面がニヤニヤと笑っていた。
こいつは、僕の親友――いや、悪友と言った方がいいか――にして、目下のところ、クラス公認のミューリンの彼氏、ガフ・オキーナだ。
そう、それがミューリンの唯一の欠点だ。男の趣味がひどく悪いのだ。どうして、僕じゃなくてガフを選んだのか……。
「ねえ、午後の試験の準備は終わったの?」ミューリンが言った。
「うん、まあ」僕は曖昧に答える。試験って何だっけ?
「さすがエリート、余裕あるわね。あたしなんて……。もう、『抑止』なんて大嫌い」
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