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―同時刻・???―
「ふぅん、あれが…」
その声は夜の闇に紛れ、聞こえる。
その姿は電柱の上にあった。
その妖艶な唇を色っぽく舌舐めずりする。
「とりあえず様子見でネコマタを与えてみたけど、中々抵抗力あるみたいね。」
金色の髪は肩甲骨くらいまであり絹のように滑らか、眼は切れ長だが瞳は大きい。
その顔はまさに日本美女だった。
背丈は160㎝前後。
着物を着ており、その上には天女を思わすような羽衣を纏っている。
だが人外(じんがい)の存在を示すように、背面に尻尾が生えている。
きっと“彼女”が普通に歩いていたら、その容姿で男女問わず気を惹いたことだろう。
だが彼女に気付く者はいない。
それは夜道で暗いからという意味ではない。
誰も彼女が電柱の上にいるなんて、想像だにしないからだ。
「まぁ今日は様子見だから、ここまでにしとこうかな♪」
一言そう呟いた後、フッと彼女の姿は風のように消えた。
……………
………
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