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翔真はけたたましい目覚まし時計の音で目を覚ました。
その時点で彼はすでに違和感を感じていた。
ベッドの寝心地からベルの音、そして天井。
何もかもがいつもと違っているような気がした。
「……ん?」
ふと起き上がってみると、翔真はそれが気のせいではないことに気付いた。
「……あれ?」
ぐるりと周りを見渡すと、自分の部屋がまるで別世界のように変貌を遂げていた。
壁紙は薄いピンク色で、あちこちにお菓子の空き箱が散乱し、机の上にはど派手なファッション雑誌がいくつも広げてあった。
「え?……え、え?」
翔真はベッドから立ち上がり、現状を再確認する。
だが何度見ても同じ、ここは自分の部屋ではない。しかもどう考えても女の部屋だ。
「……ど、どうなってんのこれ?」
さて、ここでも翔真は違和感に気付いた。声だ。
妙に音程が高い。これじゃあまるで……。
「……女?」
まさか、と彼は心の中で否定した。
きっと緊張のあまり裏返ったんだ。きっとそうだ、と彼はベッドから起き上がり、見知らぬ部屋の中をゆっくりと歩く。
そして翔真は見た。
近くに設置してあった大鏡に移った自分を。
彼は――――女になっていた。
髪型は肩まであるセミロングで、顔にはそばかす、目の下にはクマ。
スタイルは、そんなによくはない。足も手も木の棒のようだし、バストとウエストとヒップの差が全然ない。
しかし、その姿はどこからどう見ても、女だった。
「な、なんじゃこりゃあああああああああ!!」
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