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蒲の穂公園から大通りを渡ると直ぐ、コンビニ《ナイトナイト》がある。
三条尻手という土地柄を、そのまま凝縮したような店である。
昼間のお客は数えるほど、夕方くらいから、ぼちぼち客足が増える。
都内の私立高校に通う七尾玉虫が働いているのが、この《ナイトナイト》である。
玉虫が大通りの前で信号待ちをしていると、隣に立っている赤とピンクの傘のOL二人が話をしている。
「ねぇ、あそこのコンビニでしょ? 国営だっていう噂の」
「え~都市伝説~?」
「あれ、聞いた事無い? 入ったきり出て来ない客がいるとか、夜中はお化けがたむろするとか」
玉虫は雨に打たれながら、口を曲げている。
ただでさえ客が少ないのに、こんな噂がたったのでは、数少ないお得意さんの足も遠のくというもの。
信号が青になって玉虫は歩きだした。
「大筋は合っている」
コンビニ《ナイトナイト》
看板の文字の周りにピンク色の花びら。
趣味が良いとは言えない。
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