御堂の雨蛙

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  「み、御堂、今のケロって言うのは何だ?」 「き、気のせいよ‥‥」 チャラ男には見えてはいないが、少し離れたつつじの木の向こう、七尾玉虫の半月目玉にははっきりと見えている。 御堂架輪の頭の上の蛙。 「まぁいい。ところで御堂、ボーリング場の屋上から、お前の部屋がバッチリ見えるの知ってる?」 「え?」 そう言ってチャラ男がバックから取り出したのは、望遠レンズの付いたデジタルカメラ。 「ま、まさか‥‥」 ツクツクボーシ 「家に帰って学校の裏サイトを見てみるんだな。俺、貼付けちゃうから」 「や、止めて」 ケロケロ 御堂架輪は、顔を青くしてチャラ男の一眼レフに手を伸ばし、彼女の頭の上の蛙は、喉を膨らませて呑気に鳴く。 (蛙に見えて蛙じゃない) 玉虫は蛙の鳴き声を聞きながら、ズボンのポケットから手鏡を取り出す。 そして蛙の口からは七色のシャボン玉、ずんずんずんと膨らんでゆく。 「おいおい、普通の人間にそんな事しちゃマズイだろ」 七尾玉虫は仕方なく、二人の方へ歩きだした。  
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