御堂の雨蛙

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  高層ビルの空を、いつの間にか入道雲が覆い隠して、公園の木々の枝が風に揺れだしている。 架輪の蛙が作ったシャボン玉は、その風にぶよぶよと形を変えられながらも膨らみ続け、チャラ男だけではなく、彼女をもその七色の中に取り込んでゆく。 「何だ何だ何だ?」 「下柳先輩が悪いんだからね。ケロさんを怒らすから」 「誰だよケロさんって、そんでもってこの風船みたいなのは何だよ!」 ケロさんと呼ばれた蛙のシャボン玉は、二人を丸ごと包んだ後、今度はスウッと縮み始めた。 「ば、馬鹿野郎!」 縮み始めたシャボン玉を見て、七尾玉虫は駆け出した。 「縮んで縮んで、連れて行かれるのは《あちらの世界》だぞ」 ケロさんは縮んでゆくシャボン玉の上で、相変わらず呑気そうに喉を動かしている。 玉虫はつつじの木を飛び越え、次にベンチを飛び越えた。 なかなか敏捷ではある。  
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