回天

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ここは大江戸日本帝国。 かつてもかつての大昔に、猫が神として君臨した国。 食う寝る以外の欲望を持たない猫達は、地上の支配を人間に譲りはしましたが。 神として崇め奉られた身の魔力は、現在も健在です。 部屋に貼られた守り札。コタツのかけ布団の柄に、道行く主婦が財布にぶら下げる根付。 招き猫様の意匠が、帝国のあちこちに飾られています。 偉大なる力で彼方よりの災いを退け続けてきた、その力にあやかる為のまじないーー招き猫様に姿を変えて。 偉大なる猫様は至る所で、我々をにゃんにゃんと温かく見守って下さっているのです。何と嬉しいことでしょう。 けれども。無力となった通常の猫のふりをしての、本物の招き猫様が、わずかながら現在にも存在します。
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