回天

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招き猫グッズが、生涯の鼓動より多くあふれる大江戸日本帝国でも、十本の指より少ない尊い存在。生きた招き猫様。 その中の一匹が。 僕の前でぐうたらとテレビを眺めて、オムライスが食べたいと発言した、この三毛猫様です。招き猫様は普段はにゃーとしか鳴きませんが、たまに喋ります。 生きた招き猫様はその大概が、大企業や政府にて、大事に大切に飼われています。前足でくいくいと多大なる幸運を招くから。 けれども、僕の勤める会社は零細企業。子供に想像力と夢を与える、古き良き玩具を扱うおもちゃ会社。 先代のヒット商品(招き猫型のだるま落とし)のお陰で建物だけは大きくても、今は返品された品物が室内にあふれかえって。 若社長は様々な玩具を考案する傍らで、連日を通して金策に走り回っています。秘書として僕を雇うのも、ギリギリじゃないかな。 招き猫様の魔力が弱いのか、ひょっとしてサボっているのか、は定かじゃないですが…… 出来れば路頭に迷う前に、その招き猫たるお力を発揮して欲しいと願う毎日です。
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