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初めての彼女が作ってくれたオムライスを思い描き、楽しくも切なくなってしまった気分がバレたのか。
招き猫様が申し付けたことにして、僕の分のハヤシライスも経費で注文したのがバレたのか。
恐らく後者だな、すいません。給料日前で、がまぐちに五十円しか入っていなかったので出来心です。
ひれ伏す寸前の僕の横で、招き猫様はオムライスを、桃色の柔らか肉球でべしっと叩きました。
盛大に飛び散るトマトケチャップの紅。
「何ですか招き猫様、お行儀の悪いことを!」
って、あああーー桜吹雪模様の最新モードの背広が!! 僕の給料半月分が、ケチャップまみれに!!
ついでに招き猫様もケチャップまみれ。自業自得です。
しかし、僕には理解不能の満足をされたようで。ほったらかしだった煮干しの袋をご自分で破いて、食べ始めました。
オムライスの上に、くっきり招き猫様の左前足の形。ちょっと可愛い。
可愛いけれど、オムライスは僕が食べなきゃならないのですか。やはり。
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