開幕・招き猫

11/11
前へ
/11ページ
次へ
青年は勤め先から山吹色の金一封を貰い、出世した。 騒動の果てに、静けさが柔らかく毛並みに満ち満ちて撫でるその一方で。 招き猫を、打ちすえ蹴り飛ばして、運動遊戯を楽しむ快感を忘れられない人々が、こっそり集い『闇運動遊戯大会』を催したりして。 捕り物の末に無様に捕縛された姿が、かわら版にばばんと飾られたりする。 そんな人間は大江戸日本帝国中の恥さらしとなり、後ろ指を指され、子猫にも足蹴にされる身となるのであった。 大江戸日本帝国は本日も晴天。平和なり。 我々のヒゲも、行く末も、ぴぴんと真っ直ぐに。 今日も人々は元気いっぱい、招き猫と一緒に生きている。 おしまい。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加