序章 終わりと始まり

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≪サクサクサクサク... 雪を踏みしめる音が聞こえる。 1人の老人が狭い路地裏に入ると、先程女が「処分」した場所で立ち止まった。 「メリークリスマス、坊や」 転がって動かない赤ん坊に声をかけ、そのひたいに指先を当てる。 「素敵な夜になるといいね」 そう言うと、老人はまた歩き始めた。 ≪サクサクサクサク... 次第に遠ざかり、鈴の音が鳴ったのを最後に姿をくらました。 それから暫くして聞こえて来たのは、男の子の泣き声と女の話し声。 そのうちに、女は立ち去った。 あとに残ったのは、ゆっくりと雪に埋もれていく赤い血のあとだけだった。
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