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悠馬の応え等は否応なしに、宇佐美は言った。
「では任せたぞ」
悠馬はこれに黙りこくると、源次郎から譲り受けた刀へと手を乗せた。その手は明らかに震えており、それを隠そうともう一方の手で押さえつけた。
「ぎょ...御意に」
宇佐美はそんな悠馬を気にする様子も無く、これから戦をする魚沼衆へと視線を移した。
その間にも魚沼衆は続々と信濃川を渡って行くも、まさか景虎が待ち伏せ等しているとは露知らず、隊列は乱れ切っていた。
そして、信濃川を渡り終えたとき、景虎の号令が辺りにとどろく。
「矢を放てー!!」
すると無数の矢は、隊列もままならない魚沼衆へと雨の様に降り注だ。
「な...何が起こったのだ?あの『毘』の旗印......長尾景虎!?なぜ景虎がここにいるのだ!!弾正殿はどうしたのだ!?」
上田景国は、この情況を打破しようと、必死の形相にてその場で叫んでいた。
「ええい!!隊列を組み直せー!」
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