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「母さん、さっき廊下にデカい蜘蛛…」
そこまで言った所で赤い何かを目の端で捉えた。
一瞬、赤い蜘蛛かと思ったから驚いて思わず「うわっ」と声を発して飛び退いた。
母さんを逃げるよう急かす様にして背中を押して促し、そこから共に離れた。
離れたところで振り返りしばらく目を凝らすと、そこには赤い蜘蛛ではなく、蠍が居た。
これまた蜘蛛同様、普通ではなく巨大で、サッカーボール位の大きさはあった。
あまりの毒々しい赤色に心臓がドクドクと鳴り、俺は吐き気が込み上げて来た。
そして更に、その蠍は普通ではなかった。
そのサソリは手や頭は普通だが、尾だけは違った。
尾の表面はまるで竜の体表の様にゴツゴツとしていて、先の棘の部分は三つに分かれていた。
それから、胴から尾の端までの太さはあまりの変わらない。
「母さん、あれは本当にヤバい。逃げて!」
そう言い、母さんの方へと顔を向ける。
俺の心臓はずっとドクドク鳴っている。
緊張の中、母さんが口を開いた。
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