困った困った

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少年が目を開けると、逆光に照らされる青年の顔があった。青年が自分に合わせてしゃがんでいるのだと理解すると同時に、少年は青年の端正なそれを、思わずまじまじと見てしまった。 きりりと引き締まった表情は男らしさを感じられ、鋭い目付きは睨まれているような印象を与えてしまう。しかしその瞳は赤く、澄んでいる。まだ丸みの帯びた少年の顔とは違い、目鼻立ちもくっきりしており、乗せられた手も骨張っている。低い声も合わさってとても大人びて見えた。知らない大人を目の前にした少年は、急に機械のようにぎくしゃくし始めた。 「あ、ありがとう、ございました」 「頼まれてやっただけだ、気にするな。……所々に怪我があるな」 青年の視線が、少年を一通り見回すように上と下を行ったり来たりする。それから、思案するように顎に手を添えた。青年の表情は終始無表情で、少年はそれすらも大人の魅力と思った。
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