4人が本棚に入れています
本棚に追加
向かい席では帽子を拾い上げたおばさんが、そんな僕達を微笑ましそうに見ていた。
兄妹に見えているのかも知れない。
その名も知らない妹はと言うと、その間も僕のプライバシーを漁り続けているのだが。
名も知らない妹。
そう言えばまだこの少女の名前すら知らない。
「ねぇ」
カバンに半端まで頭を突っ込んだ少女が振り向く。
「ふみゅ?」
その手にはリスが握られていた。
「あの、えとその名前」
「ふみゅ?みゅ?」
少女は思案するように眉にシワを寄せると答えた。
「スピット」
スピット?聞き慣れない名前だ。
もしかしたら都市外の住民なのかも知れない。
そんな事があり得るのかはわからないが。
最初のコメントを投稿しよう!