閉鎖都市

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閉鎖都市

僕が生まれ育った街は、金属で囲まれた箱庭と言う名の檻の中だった。 僕がこの狭い世界に閉じ込められてから何年になるだろう。 日付をさかのぼり過去の軌跡をたどっていくと、ふと今日15歳の誕生日を迎えた事に気付く。 15年か・・・ 僕がこの閉じられた世界の人形になってから15年の月日が流れたらしい。 僕の目に飛び込んでくる物と言えば、変わらない日常風景ばかり。 地下鉄リニアの乗車口を、ロボットのように一列に並んで歩く人々。 あらかじめ決められたプログラムを、永遠と繰り返すだけの日常。 あと何回この日々が続くのだろう。 もうすぐプラットホームのベルが鳴り乗車口が閉まる事や、抑揚のない女性のアナウンスと共に僕らを閉じ込めた鉄の箱が動き出す事を僕は知っている。 それは1秒の誤差もなく繰り返されるアクティビティー。 変わらない日常。 変わらない日々。 変わらない人生。 囚われた運命。 動かせない現実。 それら全てが重い鎖となって僕を縛りつける。 この変わらない日常が僕の世界の全て。 ただその現実を傍観して過ぎるだけの日々。
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