2人が本棚に入れています
本棚に追加
「それだったら、もっと早く言ってよぉ!!」
(うぅ……。ものすごく恥ずかしいよぉ…)
「また声に出てるよ。ごめんね、少しからかって。
これからは、きちんと言ってあげる」
「ほんとに?」
私がそう言うとソネットは、返事の代わりに優しく微笑んでくれた。
そんな会話をしながら両脇に円柱が並んでいる廊下を歩いていると、急に辺りが静かになってきた。
私達の足音以外は何も聞こえない…。
違う!
よく耳をすませてみたら、遠くから人の声が聞こえる。
しかもたくさん!
「ねぇ、ソネット…。この先に人がたくさんいるよ?」
私がそう言うと、ソネットは立ち止まった。
「そうだね。私達はこれからあそこにいくんだよ。
あそこに主神がいらしていて、儀式を行うんだ。ここから先は、しゃべってはいけないよ」
ソネットは、途中から表情を引き締めて言った。
私が大きくうなずくと、ソネットは微笑みながらまた歩き出した。
その後、『ギシキ』は何事もなく行われた。
ソネットの言った通り、名前を呼ばれて返事をして、最後にあまりおいしくない『黄金の林檎』をかじるだけで、儀式はとても簡単だった。
そこで私が主神から与えられた名前は、音楽の神・シャーレ。
こうして私、シャーレの音楽の神としての生活が始まったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!