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そのハーモニーに惹かれて(ひかれて)音だけを頼りに近付こうとすると、何故か急に後ろから力強く引っ張られた。
引っ張られた次の瞬間、扉が開くような音と閉じるような音が聞こえたかと思うと、あの美しいハーモニーは聞こえなくなってしまった。
気になった私はゆっくり目を開けてみた。
それで初めて気が付いたのは、私は真っ白なワンピースを着てどこかの部屋に立っている、ということだ。
私はその部屋を見回した時、初めて見た場所なのに、なんとなく落ち着くような不思議な感覚を覚えた。
壁にいくつかある大きな窓とそこに架かるカーテン以外は何もない。
ただ広いだけの部屋の中でたった一人で立っていたら、私は急に心細くなってきた。
「ねぇ…。誰かいないの?」
「いいえ、ここにいますよ」
私が小さな声で言うと同時に、後ろから私じゃない誰かの声が聞こえた。
誰もいないと思いこんでいた私は、とっさに悲鳴をあげると同時に飛び上がり、カーテンの影に走って逃げ込んだ。
カーテンの影に逃げ込んだ後、さっきの声の主が誰か気になった私は、怖い気持ちもあったけどそっとカーテンの影からそっと顔出して覗いてみることにした。
私が見たのは、私と同じ真っ白なワンピースを着ている長い青みががった銀髪の人が、なぜか両手を白と茶色の格子模様の入った床に付けているところだった。
(なにしてるのかなぁ………… )
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