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近所付き合いは上手くやっているつもりだ。
両親は共働き。
二人して海外を飛び回っている発掘者という奴だ。
他に兄弟も、世話焼きな幼馴染な女の子も居ない彰人はほぼ、一人暮らしを強いられているので、孤立しない為の知恵だ。
ゴミ拾いや草刈りなど美化活動なんかも積極的に参加して、隣近所の人とあいさつはもちろん、たまにちょっとした会話もかわしている。
――ご近所付き合いのもつれで恨まれた。
なんてことは無い。
そもそも、恨んでいるからといって、いきなり追い回すような暴挙には普通でない。
――だが、まぁ、しかし。
普通ではないのは確かだと、思考が振り切る寸前の彼でもわかる。
追ってくるソイツの走り方は歪だった。
体の関節が上手く可動しないような、歩幅が統一されていない、無理やり前に進んでいるような感じだ。
それでも、ソイツは、彰人の全力疾走に着いてきて来ている。
目は真っ赤。
瞳が赤色に加えて、白目が見えないほど充血している。
犬の様な荒い呼吸。よだれが垂れようと、お構いなしで、口は大きく開けたまま。
だらりと、力無く、伸ばされている腕は彰人を捕えようとしているのか……。
――飢えている。
良くわからないが、コイツは、人の形をしたコイツは飢えている。
そう、思えた。
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