第一章

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沙菜side 美味しい。 イッチーの料理を食べたの、久しぶりだな。でも、本当に美味しい…。…あれ? 「イ、イッチー?」 「ん?何?」 うわっ!顔、近い! 「ちょっと顔…、近くない?」 「あっ、ごめん…」 「いや…えっと…」 ど、どうしよう…。沈黙…。話…そらさなきゃ…。 「あっ、あのさ…」 「何?」 「久しぶりに食べたけど、腕が上がったんじゃない?すごく美味しかった」 「本当?…よかった。久しぶりに食べてもらったから、不安だったんだ…」 そうだったんだ…。でも、そんな心配しなくてもいいのに。イッチーの料理だったらなんでも美味しいから。 「あっ!」 「な、何?」 「おかわりあったんだった。よそってくる」 いつの間にか完食していたみたい。でも、いつかはこの料理も自分で作らないといけないんだ…。そう思うとイッチーと離れてしまうみたいで、自分でもよく分からない気持ちになった。
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