ジェイムズ教授の退屈な日常

10/14

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
教授こと、ジェイムズ=M=スチュワートは不機嫌であった。ただ、ジェイムズが不機嫌なことは今に始まったことではない。ジェイムズは自他共に認める天才であった。それ故に彼を取り巻く圧倒的多数は彼を嫉妬するか、忌み嫌い、彼を遠ざけた。彼に近づいてくる者といえば、彼の叡智を利用しようとする者か、或いは更に少数派であるが、モラン少年の様に彼に心酔し、彼を神の様に崇め仕える者かのいずれかでもあった。 だがジェイムズは、他人に然程、嫌悪も絶望もしていなかった。むしろ、人という歪な存在を愛してさえいる。ただし、それは人が犬や猫といった動物を愛でるのと同類のものであったが。愛しているといっても不満がない訳ではない。それは他人が自分と比べて、あまりに凡愚であることであった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加