ジェイムズ教授の退屈な日常

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今、ジェイムズはティーカップを片手にリビングの窓からロンドンの街中を見下ろしている。ロンドンの街中はいつも同じく、人々が忙しなく行き交っている。当然の事ではあるのだが、同じ方角に視線を向けても窓の下を行き交う人々とジェイムズとでは見える景色が違うのと同様に、ジェイムズは日常的に他者と違う景色を見ている。それはジェイムズにある種の高揚をもたらすと同時に、孤独ももたらした。 ジェイムズがいくら素晴らしき景色を見ているとしても、それを共有する相手げ誰一人としていなければ、それはジェイムズにとって退屈でしかなかった。 ジェイムズは何か事あるごとに他者を試してきたが、未だジェイムズと同じ地平に並び立つ者は現れなかった。
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