ジェイムズ教授の退屈な日常

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キャリックが初めて見た教授ことジェイムズ=M=スチュワートは長身で且つ痩せ過ぎているので、キャリックはジェイムズの長身をでかいとは感じず、寧ろ長いと感じたくらいであった。 「相変わらず趣味の悪いリビングだな。」 アバーラインは教授を見るなり、挨拶もせず、開口一番毒づいた。教授はくすりとも、かといって気を悪くした様子もなく、アバーライン警部を見返して言う。 「お招きした覚えのない貴方に私の趣味について批評される覚えはないが。」 教授の正論にアバーライン警部は忌々しそうに鼻を鳴らし、ジェイムズの勧めもないままソファーに勢いよく腰を下ろした。 キャリックが気づいた時には既にモラン少年の姿はなく、教授と警部の間に漂う気まずい空気に、キャリックはどう対処すべきか戸惑っていた。 「そろそろ、その青年を紹介ぐらいしたらどうかね、警部。」 教授が口を開くと、警部はあからさまに厭な顔をしたが、キャリックに視線を向けると、顎先で挨拶するよう促した。
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