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「この度、スコットランドヤードに着任しましたキャリック警部補です。どうかお見知りおきを。」
思わず教授と言いかけ、キャリックは言葉を呑み込んだ。教授は僅かに目を細め、
「君がそうか。噂は聴いている。」
と言った。キャリックとしては噂の出所や噂の中味が気になるところであったが、教授はその質問を受け付ける様な雰囲気を持ち合わせていなかった。キャリックは上司であるアバーラインが不機嫌な顔をしたまま喋らないので、キャリックが来訪の目的を切り出した。
「実は貴方にご意見を伺いたく、不躾ながらお宅まで押しかけさせて頂いた訳で。」
そう言い、キャリックは手にしていた捜査資料を教授に渡そうとした。
「いや、結構だ。その様な事件に興味はない。」
教授は冷たく拒絶する。
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