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「はぁ。」
キャリックの気の抜けた合いの手にアバーライン警部は、着任したばかりの警部補に説明の必要を感じたらしく、教授についての説明を始めた。
教授こと、ジェイムズ=M=スチュワートは数学者で、ダラム大学時代に二項定理に関する論文を発表。その論文が認められ、大学で教鞭をとるようになる。そして、教鞭をとりながら、『小惑星の力学』という論文を学会に発表したが、その後、ジェイムズは学会から追放されたというものであった。
「なぜですか。その論文に何か問題でも。」
訝るキャリックにアバーライン警部は眉間に力を入れて否定した。
「問題があったのは論文じゃない。当の本人だ。」
アバーライン警部の話では、ジェイムズが『小惑星の力学』という論文を発表後、ダラム大学の生徒が一人死亡し、その嫌疑がジェイムズに向けられたのである。
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